- ISA東京ライフサイエンス部の役割について聞かせてください。
スウェーデンには、ストックホルム/ウプサラ、ルンド/マルメ、デンマークのコペンハーゲンを含むメディコンバレー(Medicon
Valley)など、欧州最大級のバイオクラスターが集結しています。これらのバイオクラスターを、日本の投資家の皆さまにご紹介するのがわたしたちの役目です。具体的には、スウェーデン企業に興味を持たれた日本の投資家のために、相手企業とのミーティングをセットアップしたり、スウェーデン企業によるセミナーを開催したり、視察団に同行したりといった活動を行っています。
- スウェーデンのバイオクラスターの特色は?
バイオクラスターには、企業はもちろんのこと、病院、大学やその支援組織など、バイオテクノロジーの研究・開発に携わるあらゆる組織が参加しています。法律関係や資金面では国家レベルの支援もありますが、主体となるのは地方行政です。また、資金面においても、スタート時はリスクを伴うため国の支援が不可欠ですが、その後の運営ではベンチャーキャピタルや個人投資家からの支援がほとんどです。参加企業の傾向としては、以前は開発からマーケティングまでを手掛ける大企業が中心でしたが、現在では、例えば開発だけに特化したような、小規模のベンチャー企業が増加しています。
- 外国との共同事業も盛んなようですね。
前述のデンマークとの連携によるメディコンバレーもそうですが、スカンジナビア諸国を中心に、外国との連携を積極的に進めています。最近では、スウェーデンのイェーテボリとノルウェーのオスロが、メディコースト(MedCoast)と呼ばれるバイオクラスターを設立しました。また、ルンド大学やイェーテボリ大学が中心となっている「SWEGENE」プロジェクトと、ノルウェー政府主導の「FUGE」プロジェクトは、共同でゲノム機能学(Functional
Genomics)の研究を行っています。今後は、欧州連合のプロジェクトとの協業もあるでしょう。スウェーデンはご存知の通り、人口900万人弱の小さな国ですので、バイオテクノロジーなど、莫大な資金を必要とする事業を単独で行うには限界があります。もちろん、技術面でのメリットもあります。新薬の開発では、国の枠組みを超え、その時点で常に最新の技術を取り入れていかなければ国際市場での競争には勝てません。
- 日本とスウェーデンのバイオ産業を比較すると?
日本には非常に優れた基礎研究がありますが、スウェーデンは臨床試験の分野が進んでいます。これからのバイオテクノロジーの発展には、ナノテクノロジーなど違う分野の技術も必要となるため、さまざまな分野を手掛ける大企業が中心の日本のバイオ産業は有利と言えるでしょう。しかし、基礎試験と臨床試験にはギャップがあります。そこで、スウェーデンの臨床試験の技術を有効活用していただきたいのです。
- 具体的には、どのような協業のモデルがありますか?
最近の例では、幹細胞の研究において、田辺製薬がスウェーデンとの共同開発を始めました。田辺製薬がまず、日本国内でスウェーデンのES細胞を使用してサルで実験し、成功したらスウェーデンで実際の人の身体で臨床試験を行うのです(Opportunity
Sweden 2003年12月号参照)。このように、各々の得意分野を持ち寄って開発を進めていくことは、両国のバイオ産業の発展にとって、非常に重要です。
- 最後に、日本の投資家の皆さまにメッセージをお願いします。
ISA東京では、セミナーを開催するなど、日本の投資家の皆さまにスウェーデンのバイオ産業をご理解いただく場をご用意しています。このような機会を通じ、スウェーデンのバイオ産業に興味を持たれましたら、是非、スウェーデンにお越しください。どんな企業があるのか、どんな研究を行っているのか、実際にご覧いただきたいと思います。近年、スウェーデンのバイオ企業とアメリカやイギリスの企業との契約は増えていますが、日本企業との関係はまだこれからです。日本の投資家の方々とも、良い関係を作っていけるといいですね。
■流暢な日本語を話し、4年半にわたってISA東京で日本企業の皆さまのスウェーデン投資をお手伝いしてきたヨハン。残念ながら、今年の3月末でISA東京を去ることになりました。「これからは日本のバイオ企業も国際化が必要」と語るヨハンは今後、ISA東京での経験を活かし、日本のバイオ企業の国際化のお手伝いをしていく仕事がしていきたいそうです。

Go Up |
Top Page
|