―ウッドプロジェクトを担当してどれくらいですか?
まだ1年ほどです。それ以前は、大使館で規制問題や貿易渉外を担当していて、現在も兼務しています。日本に初めて来たのは1995年で、東京国際大学に1年ほど留学しました。一旦帰国し、本国の大学を卒業した後、98年に再び来日し、筑波大学大学院に留学したのです。その頃からアルバイトとして大使館の仕事に携わっていました。
―ISA東京のウッドプロジェクトチームの役割とは?
スウェーデンでは、最大手の製材所で生産されている用材はわずか数パーセントにすぎません。小規模ながら創造力にあふれ、安くて良い製品を持つ会社がたくさんあります。一方、日本には安定した大きなマーケットがある。スウェーデンと日本は伝統的な木の文化が根付いていて、木造の家を好むといった嗜好がよく似ています。そのあたりをうまく結びつければ、双方にとって魅力的な、面白いビジネスが展開できるでしょう。その調整をするのが、ウッドプロジェクトチームの役割だと考えています。
―具体的にはどんな活動をしていますか?
日本の企業から「こういうことをしたい」「こういう製品を探している」といったニーズを集め、それに見合うスウェーデンの企業や製品を紹介しています。逆に、スウェーデンから「こういう会社が新しいオーナーを探している」という情報をもらい、日本の企業に紹介して回ることもあります。時には、視察団を組んで日本の企業さんをスウェーデンにお連れすることもあります。昨年も住宅メーカーや商社、工務店など12、3社からなる視察団をお連れしました。もちろん、それから先、地元企業との交渉やビザの申請などの手続がスムーズにいくようにサポートするのも私たちの仕事。また、買い付けのためにスウェーデン法人を設立する際や、パートナーシップを組む際にもお手伝いさせていただきます。
―スウェーデン全土にわたり、バックアップを受けられるのですか?
スウェーデン本国にはこの道30年というベテランのプロジェクトリーダーがいて、国内の木材関係の企業に関してすべて把握していますから、どんなニーズにもお応えできるでしょう。ただ、私たちのこうした活動が日本の企業さんに浸透しきれていないのも確かなところです。これまでもセミナーなどを開催してきましたが、今後さらに私たちの活動、そしてスウェーデンの木材加工業についてアピールしていきたいと考えています。
―日本企業を相手にしたビジネスの感想は?
日本の企業は組織が大きい分、新しいことに挑戦しようとするとなかなか大変なようです。販売チャンネルも複雑で、マーケティングも難しい。木材業界はグローバル化が進んでいますが、まだ規制の厳しい分野もあります。例えば、住宅などはものが大きいだけにロジスティックの問題がありますね。また、日本とスウェーデンでは当然、哲学的な違いがあります。しかし、長期的な視野を持ってパートナーシップを組めば、そのあたりも乗り越えられるはずです。ただ、為替レートが高めの現在では、日本の企業もすぐに投資というわけにはいかないようです。まずは取引をしてお互いをよく知ってから、というのが通常のパターンです。
―規制といえば、日本輸出向けの建材がスウェーデンで試験可能になりました。この法改正による今後の展望は?
建材のホルムアルデヒド発散の性能試験は、日本向けの輸出における高いハードルでした。これまで、輸入元の日本企業が性能試験を行い、大臣認定を取得する必要があったので、費用も時間もかさんでしまっていたからです。実際、良い製品を見つけ、すぐに取引したいという日本の商社が、コストと時間の問題から買い付けを断念したケースもいくつかありました。今回、大使館の努力により、スウェーデンのSP検査研究機関がスウェーデン国内で試験できるようになったことで、申請が大変だった小規模の会社でも日本向けの輸出がしやすくなります。良いものをより多く、日本の市場に紹介できるようになるでしょう。
―投資先として見た、スウェーデンの木材加工業界の魅力とは?
スウェーデンでは森林を長期的戦略の元に管理しており、今後も資源の安定した供給が可能です。また、優れた木材加工の技術、ノウハウを蓄積してきたのと同時に、最近ではマンションやオフィスに使われる新しい木材の技術、製品も次々と開発されています。さらに、スウェーデンは会社を設立したり、人を雇用したりしやすい、いわば協力体制の築きやすい環境が整っていますから、海外のパートナーとしては実に魅力的な存在ではないでしょうか。良い製品、良い技術を低いコストで自分のものにできるはずです。
―今後の抱負をお聞かせください。
もっともっと、日本の企業とのつながりを築いていきたいと思います。そのために、私たちの活動をより深く知っていただくと同時に、特定の企業のニーズ、ビジネスモデルに対応できるようなプログラムを構築していきたいですね。
―最後に、日本企業にメッセージを。
資源、技術、ノウハウ・・・、スウェーデンの木材加工業界には、長期的にかかわることで自らの利益になることがたくさんあります。是非、スウェーデンを深く知り、かかわりを持ってみてください。

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