「日本とストックホルムを結ぶ直行便がないのは全く不可解と思います」とマッツ・ロジャーソン氏。スウェーデンは北欧地域では飛び抜けて飛行機利用者が多く、日本企業の支社は北欧諸国のどこよりもストックホルムに多く置かれています。また日本には120社以上のスウェーデン企業があり、計1万2000人の従業員を擁しています。さらに日本の対スウェーデン貿易は、他の北欧諸国をすべて合わせたものより大きな規模となっています。
「それなのに、日本に来るスウェーデン人や、スウェーデンを訪ねる日本人は全員、コペンハーゲンやヘルシンキや、その他の欧州都市を経由しなければならないのです」。
ロジャーソン氏が東京‐ストックホルム間を往復する直行便の実現に並々ならぬ意欲を見せるのは、彼がアーランダ空港を運営するLFVグループの、ストックホルム・アーランダ空港ビジネス開発マネージャーだからです。ロジャーソン氏は先日、この直行便がなぜ必要かについて、有力な論拠を携えて来日しました。
LFVグループの示す数字には説得力があります。「私たちの調査では、東京‐ストックホルム直行便は、ポテンシャルを含め年間9万6000人の搭乗客を見込めるという結果が出ています。運航を決めた航空会社がこれを獲得するのです」とロジャーソン氏は言います。「LFVの統計では、そのうちの7万1400人あまりがスウェーデンからの利用者、残りが他の北欧市場からの利用者となっています」。
「最大の理由は、東京もしくは大阪からストックホルムまでの直行便の場合、コペンハーゲンまでの便よりも所要時間にして50分ほど短縮されるという点です。さらに、デンマークからスウェーデンまでの乗り継ぎも必要なくなるのです」。また、旅行などで北欧を訪れる人や、北欧から出発する人の大多数は、到着地や出発地にスウェーデンを望んでいる、とロジャーソン氏は言います。
もう1つの理由は、新しい路線の導入が新しい需要を生み出す点だとロジャーソン氏は言います。「マレーシア航空は2004年にストックホルム‐クアラルンプール間の直行便を開設しました。当初、この路線の利用者は年6000人程度と予想されていたのですが、2008年の利用者数は4万人から4万5000人となる見込みです。直行便があれば旅行会社もその地を積極的に売り出すようになります。供給を始めることが需要を生み出すことにもなるのです」。
ロジャーソン氏は、「アジアからアーランダ空港への新しい路線を開拓するのが私の仕事です。日本とストックホルム間の市場があることは明白ですから、この路線が一日も早く開設されることを望みます」。と語ります。
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© LFV/Daniel Asplund
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もちろん、成田空港の発着枠不足に問題があることは、ロジャーソン氏も理解しています。「ストックホルムには余裕があるのですが、問題は成田です。しかし2010年に成田空港の発着枠が少し増加するので、その枠に滑り込めることを期待しています。そのためには、ストックホルムを航空会社の路線図に載せるだけでなく、政治的にも働きかけなければなりません。私たちは、スウェーデン政府と日本政府のつながりを強化するために最善を尽くし、直行便への関心が高まっていることと、お互いにとって十分なメリットがあることを両政府に説明していくつもりです」。
LFVグループは手を挙げた航空会社への支援策として、3年間のインセンティブ制度と乗客増に対するボーナスを設けるつもりだ、とロジャーソン氏は言います。
「つまりは、2つの国の行き来を楽にするということなのです。楽になればそれだけ、行き来する人も増えます」。これはビジネスに限ったことではありません。「スウェーデンの観光旅行市場も新しい目的地を模索しているところです。日本がその1つとなってくれることを、私たちは願っています」。
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