新聞を印刷するように、プラスチックフィルムにメモリーチップの回路パターンを印刷する。そう言うとSFのように聞こえるかもしれません。
しかし、リンショーピン大学から生まれた企業、シン・フィルム・エレクトロニクス(TFE)は、おもちゃから荷札まで、あらゆるものに簡単に取り付けられるメモリーチップが、極めて安価に製造できることを証明しました。このメモリーチップの利用法としては、例えば包装紙があります。箱の中身に関する情報を包装紙そのものに組み込むわけです。
TFEの高度な専門技術には世界中から反響があり、同社は現在、韓国、ドイツ、英国の企業と提携してさらなる技術開発を進めています。将来、製品化が期待されているもののひとつが太陽電池。現状では、太陽電池の製造には非常にコストがかかります。丈夫な紙に印刷した太陽電池を屋根の上に広げるだけで太陽エネルギーを集めることができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
TFEは、リンショーピン大学のユニークな試みが実を結んだケースのひとつです。その試みとは、レベルの高い研究を支援する一方で、どうすればその研究成果をビジネスに応用できるかについて考える、というものです。TFEのCEO、ヨハン・カールソン氏は、スウェーデンの技術系週刊誌「Ny Teknik」のインタビューで、外部団体との提携がTFEの成功につながった例をいくつか挙げています。
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印刷されたメモリーチップ
© Thin Film Electronics
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中でも最もよく知られているのが、銀をベースとしたエマルジョンインクを製造している、韓国のインクテックとの提携です。銀ベースのエマルジョンインクは乾燥すると半導体層を形成する性質があるため、電流を流すと半導体層が形成され、電流を切ると元の状態に戻ります。これはつまり、情報を記憶させることができるということです。バケツ一杯のインクとプラスチックフィルム一巻きから、メモリーチップを作り出せるのです。
実験では、15ビットから100ビットの回路パターンを、長さ100メートルのプラスチックフィルムに印刷することができました。現時点での精度は95パーセントにとどまっていますが、今後調整を進めれば、出力品質はさらに向上するだろうとTFEは考えています。
「当社ではすでに受注態勢を整えており、現在数社と商談を進めています」とカールソンCEOはNy Teknik誌に語っています。
リンショーピン大学は、スウェーデンの多くの大学に定着している産学連携モデルの好例と言えます。かつては、学界と産業界が協力することはほとんどありませんでしたが、現在では企業が大学の研究者と一緒に研究・開発を行うのはごく当たり前になっています。
TFEは、現在はノルウェーの企業としてオスロに本社を置いているものの、研究開発センターは、今もリンショーピン大学のキャンパス内にあります。これは、アイデアを実らせるには手間暇をかける必要がある、という基本を忘れないようにするためです。
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