現在ホンダは、スウェーデン南部の都市マルメに地域本社を置き、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、エストニア、ラトビア、リトアニアの7カ国の事業活動を統括しています。同社は2000年から2003年の間に、9000台だった販売台数を1万3000台以上まで伸ばし、現在では1万5000台近くにまで引き上げています。また、収益率も改善させ、堅調な数字に戻しました。これらの成功の要因はどこにあるのでしょうか?
ホンダ・ノルディックの社長、マスダヒデオ氏は次のように述べています。
「1990年代の終わりごろ、欧州北部でホンダの輸入代理店があったのはスウェーデンのみで、これらの独立代理店は不安定な販売数と低い利益率に悩まされていました。そこで、収益率と認知度の向上、ホンダのブランド力強化を目的に、改革に着手したのです」。
ホンダはまず代理店を管理し、すべてのディーラーが共有できるサービス体制を確立して流通機能を集中させました。
ホンダ・ノルディック・シェアード・サービス
ホンダのシェアード・サービスは、注文管理や人事から、財務会計、IT・情報システム、マーケティングや広報に至るまで、あらゆる会社業務をカバー。これらのサービスを北欧各国のディーラーに販売しています。7カ国の代理店すべてが同じサービスを共有できるこのシステムは、北欧で事業展開しているどの自動車メーカーよりも優れていると、ホンダは胸を張ります。
コスト削減効果など、シェアード・サービスの利点は絶大、とマスダ氏。「より規模の大きな組織は、より多くの優秀な人材を集めることができます。これにより、外注していた仕事を社内でこなせるようになります。また、それぞれの業務はひとつの国だけでなく何カ国もの展望を視野に入れなければならないため、より高度になります」。
地域型の組織運営には、ITシステムとツールの作成が極めて重要な役割を担っています。7カ国 1000人以上のユーザーがマルメからサービスを受けており、個人のハードディスクを含めたすべての情報を1カ所に集中させることで、ホンダはITサポート人員を最小限に抑えることができたのです。
コスト面以外にも、グループ内における立場の強化という、予想外の効果も得られました。「7カ国がばらばらだった時は、いずれの国も小規模で、新型車の発売時には配送や分配台数をめぐって争っていました。ひとつにまとまった今、これら7カ国は欧州で7番目に大きな市場です。グループ内での発言力も確実に強まっています」。
ホンダ・ロジスティクス・センター
広さ400平米に及ぶホンダ・ロジスティクス・センターは、2001年に完成しました。従業員はたった10人弱ですが、年間33万点以上の注文商品がここから配送されています。在庫調査を含めたあらゆる業務はコンピュータ処理され、書類を手書きする作業は一切ありません。また、ホンダはスウェーデンとノルウェーの税関に電子文書による申請の認可を受けています。輸入の事前申請により、配送スピードをさらに速くすることができます。ディーラーや工場も、インターネットを通して発注します。
これらのスピード化により、スウェーデンとデンマーク全土およびノルウェーとフィンランドの主要市場には24時間以内、エストニアとノルウェー、フィンランドの遠隔地域には48時間以内、ラトビアとリトアニアには3日以内に配送できるようになりました。また、ベルギーのゲントにある欧州中央倉庫からの船便は、午前零時までに発注すれば翌日の朝にはマルメに到着します。
さらに同センターでは、RFID(無線ICタグ)システムを採用して倉庫内の製品の動きをすべてモニターしています。これらの改革により、マルメのロジスティクス・センター全体の配送レベルは開設当時に比べると20パーセントも改善され、現在では最高水準を達成しています。「注文した商品をすぐに手に入れたいとお客さまが思うのは当然です。ロジスティクス・センターの配送システムは、そんなお客さまの希望を叶えるために考えられたものです」と、マスダ氏はコメントしています。
また同氏は、マルメという場所にも大きな利点があると言います。「スウェーデンは、私たちのロジスティクス業務の運営、および改善に必要なあらゆる専門技術と、サプライヤーのネットワークを備えた国です。センター設立によるコスト削減効果は明らかで、以前はスウェーデン市場のみに6、7人が携わっていましたが、現在は7カ国全体を10人前後で担当しています」。
スウェーデンの選択は必然
総合的に見て、マスダ氏はこの新しいシステムに大変満足していると言います。「地域型の組織を作って会社機能全般にわたるサービスを共有する。地域化と中央集中化のほどよいバランスが保たれた結果、販売台数が伸び、事業効率が上がりました。北欧最大の市場規模を持ち、優れた人材や資源の宝庫であるスウェーデンの選択は、当社にとって必然だったと言えるでしょう」。

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