BAN2401は、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的とした両社の共同研究から得られた、ベータ・アミロイド(Aβ)に対するヒト化モノクローナル抗体。アルツハイマー病の原因と考えられるAβ成分を除去します。BAN2401は、アルツハイマー病研究において世界的に著名なスウェーデンにあるウプサラ大学のランフェルト教授が発見した、家族性アルツハイマー病の原因であるアークティック変異Aβに関連する研究にもとづいて開発されたものです。
2001年にランフェルト教授は、典型的症例よりも10年早く発症する、特に攻撃性の高いアルツハイマー病を遺伝したスウェーデン人家族の研究を行い、アークティック変異Aβを発見。これによりアルツハイマー病の病原体であるAβ成分が明らかになりました。バイオアークティック・ニューロサイエンス社は、ランフェルト教授らの一連の研究成果の実用化を目指して、2003年1月に設立されています。
バイオアークティック・ニューロサイエンス社のゲレルフォルスさんは、研究の極めて早い段階からパートナー企業を探していました。理想的なパートナーとしてエーザイを選んだ理由について次のように話しています。「エーザイはアルツハイマー病の症状を改善する第一世代薬を開発しており、共に次世代治療薬の研究を進める上で、ベストパートナーになってくれると思ったからです」
そして、バイオアークティック・ニューロサイエンス社からエーザイに共同研究の申し込みがあったのは2004年のことでした。これを受託したのは、ランフェルト教授の研究をもとにアルツハイマー病の抗体に関する研究を共同で行えることに興味があったからと永倉さんは話しています。「2005年に研究提携を結んでからスポンサードリサーチ(受託研究)を行い、抗体であるBAN2401が採れて、私たちエーザイ側でも活性の確認がとれたため、昨年12月のライセンス契約に至ったのです」
年に4回、両社は合同会議を開いており、プロジェクトは今のところ計画通りに進んでいるとゲレルフォルスさんは話します。
「私たちは製品を市場に送り出すまでの全過程において、協業を予定しています。抗体の製造技術開発はイギリスで進められており、治療薬候補はスウェーデンですでに開発されています」
またエーザイとの共同研究に関し、ゲレルフォルスさんは次のように感想を述べています。「私たちには共通する点が非常に多く、お互いに大変尊敬し合っています。エーザイは知識面でプロジェクトに多大な貢献をしてくれており、多くの知識を得たおかげで、当社は別の治療薬の開発も行えるようになりました」
エーザイの永倉さんも「製薬においてスウェーデンは非常に進んでいるので、その最先端研究を知ることができるのは当社にとっては大きな利益です」と話しています。
両社の提携により、次世代アルツハイマー病治療薬が実用化されると、患者はもちろん、周囲の人たちのQOL(Quality of Life)が向上するだろうと永倉さんは期待しています。「病気の発見が早ければ早いほど、病状は軽度のままゆっくり進行することが予測されます。この新薬を使った治療に脳のリハビリなどほかの療法も加えれば、アルツハイマー病をあまり気にせずに通常の生活を送ることが期待できるのです」
日本とスウェーデンの最先端研究が実を結ぶことにより、アルツハイマー病が恐ろしい病気ではなくなる日が近い将来、訪れるかもしれません。
ISA東京では、日本企業の皆さまにさまざまなスウェーデンのバイオ企業や大学関係者をご紹介させていただき、ビジネスのお手伝いをさせていただいています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。


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