2005年、スウェーデンでは夏に多くの雨が降りました。日差しが大好きなスウェーデン人にとって、夏の雨は憂鬱なもの。しかし秋を迎えたとき、その天候がもたらした恩恵にスウェーデン中が狂喜しました。湿った森の地面の至るところにきのこがニョキニョキと顔を出し、大豊作となったのです。スウェーデンのヨーラン・パーション首相さえも「今年は私たちにとって素晴らしいきのこ年になる」と、喜びを露わにしました。
このことからも分かるように、スウェーデン人のきのこ狩りに傾ける情熱は相当なもの。真剣なきのこコレクターにとって、きのこがたくさん生える場所はまさに金の鉱脈。家族や友人にさえ、その正確な場所を教えないといいます。昨年夏のベリーの記事でお伝えした「自然享受権」は、もちろんきのこにも有効。スウェーデンでは、たとえ他人の私有地であっても勝手に入ってきのこを摘んでもよいのです。しかし、当然中には毒きのこもあるので注意が必要です。
スウェーデンで最も代表的なきのこは、黄色いトランペットの形をしたカンタレーラ(Chanterelles)。枯れ草の中でも見つけやすく、ひとつ見つけると周りに群生しています。高級食材として知られるポルチーニは、スウェーデンで初めてこのきのこを食材として紹介したカール14世ヨハンにちなみ、カールヨハン(Karl Johan)の名で親しまれています。スウェーデン産のポルチーニは、イタリアのきのこ専門家が「世界で最も美しいポルチーニ」と評価するほど。毎年何トンものポルチーニがイタリアのレストランやお店向けに輸出されています。
スウェーデンではなんと、マツタケも採れます。スウェーデン産のマツタケは、味、香りともに日本製にそっくり。スウェーデンの生物学者が両者の遺伝学的な共通点を探っています。

カンタレーラのスープ
©Swedish Institute |
採ったきのこは丁寧に砂やゴミを落とし、洗わずに調理します。生クリームを加えてクリームソースにしたり、オムレツやシチューに入れたりします。余った分は乾燥させて保存します。新鮮なものならシンプルな調理が一番。ひとたび採りたてのカンタレーラをバターで炒め、さっと塩コショウをして薄切りのパンに載せて食べれば、病み付きになること間違いなし。スウェーデン人のきのこにかける情熱を理解できることでしょう。

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