オリエンテーリングの発祥は、19世紀後半にスウェーデンで行われていた軍事教練と言われています。1893年には、軍関係者の競技スポーツとして大会が開かれ、4年後には市民レベルの大会も開催されるようになりました。徐々に知られ始めたオリエンテーリングをスポーツとして位置付け、発展させたのは、スウェーデン人のエルンスト・シランデル(Ernst Killander)です。シランデルはボーイスカウトの指導者でもあり、スポーツを通して若者の健全な精神を育む教育に熱心でした。シランデルが主催した初めての大規模な大会はストックホルムで1918年に開催され、220名が参加しました。シランデルはその後も、オリエンテーリングの基本理念やルールの構築に情熱を注いだことから、北欧諸国では「オリエンテーリングの父」として知られています。

通過ポイントに置かれるコントロールと呼ばれる標識 |
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ここでオリエンテーリングの競技内容を見てみましょう。競技のために作られた専用地図(縮尺は1万分の1または1万5千分の1)を使い、設定された通過ポイント(コントロール)を順番通りにできるだけ速く回ってタイムを競います。地図は大会の実行委員会と地図専門家が前もって競技場となる土地を調査し、ルートを策定した上で、原図に細かい地形や植生などを書き込んで競技用の地図を作成します。競技参加者は土地の事前の下見を禁じられており、地図はスタート直前に渡されます。通過ポイントでは、到達したことを証明するパンチを記録用紙に記入します。速さで優劣を競うオリエンテーリングですが、実際はルート選択のナビゲート術、地図から地形を読み取る力、平坦ではない森の中を歩く体力と、頭脳と体力の両方が試されるのです。

競技用の地図
(クリックすると拡大表示されます) |
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第二次世界大戦後、オリエンテーリングはヨーロッパ全土、アジア、北米などに広がり、1949年には、スウェーデンで国際大会が開催されるまでになります。オリエンテーリング連盟(International Orienteering Federation)も結成され、現在は国内外69の組織が加盟しています。競技内容も多彩になり、ポイントを通過する従来のオリエンテーリングはスプリント、ミドルディスタンス、ロングディスタンスに細分され、複数人によって行うリレー形式、規定時間にポイントを通過してスコアに換算していく形式もあります。そのほか、マウンテンバイクやスキーで行うもの、車椅子使用者の人たちのためのオリエンテーリングなどもあり、各競技とも世界選手権が開かれています。

スキーオリエンテーリングの模様 |
日本では、1970年代に政府が推し進めていた国民体力作り運動の一環として、オリエンテーリングが導入されました。当時は競技というよりリクリエーションとしてのイメージが強かったのですが、現在はスポーツ競技としても浸透しており、1991年に設立された日本オリエンテーリング協会を通して、国内競技大会、世界選手権への派遣などが行われています。2005年、愛知県でアジア初のオリエンテーリング世界選手権も開催されました。現在、日本におけるオリエンティア(競技としてオリエンテーリングを楽しむ人)は、数千人と言われています。


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