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モミの木を切り倒して屋内に運び入れ、キャンドルやオーナメントで飾り付けるようになったのは、1539年、フランスのストラスブールが最初です。この年の教会文書には、最も闇深い季節に人々を元気づけようと、心優しい司祭たちがツリーを用意したことが記されています。
しかし、クリスマスツリーとキリスト教との関係は、それよりもずっと以前にさかのぼります。紀元723年にイングランド南部デヴォン出身の伝道師ボニフェイスが、現在のドイツ人が信仰していたトール神の神木、オークを切り倒したという逸話が、カトリック教会の年鑑に記録されているのです。
伝説によると、ボニフェイスは戦争の神であるトールと対決し、雷で自分を倒すように言いました。しかし、雷は落ちず、代わりに強い風が吹いてボニフェイスが神木を倒すのを助けました。これを見たドイツの民は即座にキリスト教に改宗し、ボニフェイスが神木の根の間に生えた小さなモミの木を指して「この慎ましやかな木は、最も闇の深い時にも緑を絶やさない。このように、キリストをあなたの安らぎとし、導き手としなさい」という話を抵抗なく受け入れたそうです。
とは言え、キリスト教徒がクリスマスを祝うためにツリーを飾るようになるのは、それから800年も後のこと。その頃でもまだ、クリスマスツリーを飾る風習はフランスとドイツの国境周辺に限られていました。

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スウェーデン人が南の隣国から影響を受けてツリーを飾るようになったのは、1700年代に入ってからです。当初、ツリーを飾ったのは大きな森を所有しているような裕福な人たちだけでした。飾りとしてはキャンドルやリンゴ、手作りのオーナメントが主流でしたが、1800年代の終わり頃には、大型百貨店が、ドイツから輸入したガラスや金箔の高価なオーナメントの販売を始めました。
20世紀になる頃には、一般の人々にもクリスマスツリーを飾る風習が広まり、毎年何十万本ものモミの木が切り倒されました。ツリーは、ハムやプレゼントと同様にスウェーデンのクリスマスに欠かせないものとなり、家中に満ちたモミの木の香りが、与え分かち合うキリスト教の精神を人々に思い起こさせるようになったのです。
プラスチック製のクリスマスツリーがスウェーデンに広まり始めたのは1980年頃でした。米国で生まれたこのアイデア商品は、環境に優しくかつアレルギーを持つ人にも安心と、もてはやされました。現在では病院や職場のクリスマスツリーはほとんどがプラスチック製となっています。が、その一方で、小さな葉を掃除する手間がかからない代わりに、生のモミの木のすがすがしい香りが楽しめないという声もあります。
ツリー飾りの製作は、小学校や保育園の子供達にとって人気の高いレクリエーションとなっています。12月初旬になると、教室は画用紙やのり、ひも、ストローなどであふれかえります。よく作られるのは、妖精やリンゴ、クリスマスゴート(ヤギ)などです。それから、キャンディを詰めた紙筒をカラフルな紙で包んだデコレーション、「スメルキャラメル(smällkaramell)」も忘れてはなりません。スウェーデンではクリスマスの終わる日とされる1月6日頃に「クリスマスツリーはがし」という盛大なお別れ会が開かれますが、子どもたちがスメルキャラメルの包みを開けるのは、この日までの“お楽しみ”となっています。


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