スウェーデンの学校は、小学校から大学までのほとんどすべてが公立です。義務教育期間は7歳になる年の秋から16歳になる春までの9年間。日本では小学校入学から中学校卒業までにあたります。義務教育終了後は、本人の学力、意思に応じて高校、職業学校、成人学校、大学および大学院に進むことができるようになっています。
スウェーデンの教育制度で特徴的なのは、小学校から大学に至るまで、入学金や授業料が全く必要ないということです。しかも、義務教育期間中の教育費は原則的にすべて無料。教科書代、ノート代、教材費の支払いはなく、地域によっては通学定期も無償でもらえます。遠足などで発生する交通費や施設への入場料などは少額の生徒負担があるものの、給食費や学校医療費もかかりません。高校の教育費も基本的に無料ですが、近年は給食費、教材費を生徒負担とする学校が増えてきているようです。
面白いことに、スウェーデンでは中学2年生まで成績表がなく、塾や家庭教師も存在しません。それでもPISA(OECD生徒の学習到達度調査)では常に上位に入っています。PISAとは、経済協力開発機構(OECD)が義務教育修了段階の15歳児(高校1年生)を対象に、3年ごとに行っている学力テストのこと。57カ国・地域の15歳児40万人が参加した2006年の調査では、スウェーデンは「科学的リテラシー」で22位、「読解力」で10位、「数学的リテラシー」で21位となっています。
|
© Astrid Lindgrens Värld
|
スウェーデン教育制度が素晴らしいのは、所定の条件を満たせば、外国人でも同様の恩恵を受けることができる点です。それだけに、スウェーデンの大学に入学を希望する外国人も多く、ヨーロッパのみならず、アジア諸国からの学生も増えています。スウェーデン大使館で広報を担当する速水望もその一人。スウェーデンからの帰国子女だった速水は、スウェーデン関連の仕事に就くために、本格的にスウェーデン語を学ぼうと1992年にベクショー大学に留学しました。
「入学の条件は学部学科によって違うのですが、私が専攻した北欧言語学の場合は、スウェーデン語以外に3つの言語を履修していることが必要でした。授業料がないことに加えて、当時は住宅手当もありましたね。奨学金も現地で応募してもらっていました」
当時のべクショー大学には学士課程しかなかったため、その後、速水は修士課程を取るためにイェーテボリ大学に編入。無事、卒業しました。
「スウェーデンの学生は、社会人と同じように1日8時間は勉強するのが当たり前だと思っていて、本当によく勉強するんです」
スウェーデンの教育制度は、勉強をしたい人にとっては非常にありがたいものです。その半面、安易な気持ちで利用するべきではないとも言えるでしょう。
Go Up |
Top Page
|