ストックホルム中央駅から南へ電車で15分、自然に囲まれたNOVUMリサーチパーク内に、カロリンスカ研究所(南部キャンパス)はあります。同研究所は、ノーベル生理・医学賞の審査・選定を行うなど、ライフサイエンス分野では世界トップレベルの研究教育機関です。特に同研究所内のアルツハイマー病研究センターは、この種の施設としては欧州最大規模で、その研究は質・量とも世界最高水準を誇ります。
西村さんの職場は、このアルツハイマー病研究センター内にある研究施設“KASPAC”。ここは、住友製薬とカロリンスカ研究所の共同研究施設です。アルツハイマー病を重点研究疾患の一つとする住友製薬は2000年6月、カロリンスカ研究所とアルツハイマー病治療薬の開発に関して5年間の共同研究契約を結びました。有望な創薬シーズの発掘や最先端研究の情報収集には海外の研究機関との提携が有効であると考えた同社は、ドイツやイギリスの競合研究所と比較した上で、神経系研究の質の高さ、基礎研究と臨床研究の密接な連携などを評価し、このカロリンスカ研究所をパートナーに選びました。提携にあたって、スウェーデン政府や在日大使館の力強いサポートがあったことも決め手になりました。「私はここに2000年10月に派遣されました。アルツハイマー病の効果的な治療法を見つけるため、アルツハイマー病の原因となる要素を見つけ出し、その機能を生化学的、分子生物学的手法を用いて調べる、という研究に取り組んでいます」
住友製薬からKASPACに派遣されている研究員は、西村さん1人。他はカロリンスカの研究員です。コミュニケーションに不都合を感じることはまったくないと西村さんは言います。「皆さん、自分の研究に大きな誇りと強い責任感を持っています。そして、生活にメリハリをつけながら、毎日の研究に最大限集中しているように感じます。人柄は、皆とてもおだやかで、正直。何事にもまじめに取り組む人たちです。だから私も、できるだけ素直に自分を出すように心掛けています。それと、皆さんとても陽気です。普段からよく冗談を言い合って、みんなで笑っています」
KASPACには週に1度、“ケーキの時間”が設けられています。皆で研究所内のカフェに集まって、お菓子を食べ、コーヒーを飲みながら、研究のことや研究所の運営の問題、世間話などをわいわい語り合います。お菓子は持ち回りで用意します。「以前、みたらし団子を家で作って持っていったのですが、皆もの珍しそうに食べていましたよ。大絶賛とはいきませんでしたが(笑)」
IT環境を含め、研究開発環境は申し分ないと言います。「世界各国からトップレベルの研究者が集まるこの研究所は、世界最先端研究にすぐにアクセスできる、非常に恵まれたところです。著名な研究者のセミナーなども多く催され、積極的に参加しています。このような最高の環境に身を置けることは、いち研究者としてとてもありがたいことで、ここにいる間にあらゆるものを吸収し、自分の研究に活かしたいと思っています」。最後に、西村さんの夢は「アルツハイマー病の治療薬の開発を通して社会に貢献することです」


昨年4月、西村家に双子の女の子が誕生。近くの湖畔にて、地域のお母さん達と。(右が西村さんの奥様と双子の女の子)
■ 研究施設KASPACについて
- 施設名:
- KASPAC
(Karolinska Institute Sumitomo Pharmaceuticals Alzheimer Center)
- 研究内容:
- アルツハイマー病治療薬の研究開発
- 開設年月:
- 2000年6月(建物が完成したのは2001年1月)
- 所在地:
- ストックホルムのカロリンスカ研究所
アルツハイマー病研究センター内
Karolinska Institutet, Neurotec, NOVUM, KASPAC, plan5
SE141 57 Huddinge, Sweden

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