スウェーデンでエコラベルが誕生したのは、 1980 年代の後半、北欧諸国の政府、環境保護団体、消費者団体が製品の環境への影響に注目し始めたころでした。
SIS ミリオマークニング
マネージング・ディレクター
ラグナー・ウンゲさん |
スワンマークは、スウェーデン政府の委任を受け、 1989 年に北欧大臣会議で制定されたものです。世界初の多国間環境ラベル制度で、 1989 年の導入決定当初から参加したノルウェー、スウェーデンに加え、 1990 年にフィンランド、 1991 年にアイスランド、 1997 年にデンマークと、現在北欧 5 カ国すべてが参加しています。
製品グループの主な区分は、建材および装飾品、自動車用品、家庭用暖房器具、家庭用化学品、紙パルプ製品、雑貨などです。スワンマークの認証を受けるには、製品そのものの環境への影響のほか、製造過程、使用後の処理についても審査が行われます。
一方のクラヴは、国際有機農業運動連盟( IFOAM )の傘下にあり、スウェーデンで有機栽培製品の認定基準の設定、基準への適合性を判定している機関です。クラヴマークが表示された製品は、生産から最終加工に至るまで一切、化学成分が使用されていない製品であることを意味しています。牛乳やジュース、食肉、缶詰、ビール、チョコレートといった食品のほか、有機栽培で作られた綿を使ったタオルなどにも表示されています。
スウェーデン国内でのそれぞれのエコラベルの認知度は、スワンマークが 97 %、クラヴが 98 %。ここまで普及した理由には、スウェーデン人の環境に対する意識が高いことのほか、生産者と小売り業者の努力が大きいことも挙げられます。
アラネア・サーティファリング社
会計監査官
カッレ・ワールバーグさん |
クラヴの公認認証実施を行うアラネア・サーティファリング社( Aranea Certifiering AB )の会計監査官、ワールバーグさんは「農家の人々は国民に環境問題を意識させる上で、大きな役割を果たしました。また大規模小売業者は、一部の製品群を完全にエコラベル製品に切り替え、エコ製品の売り上げを後押ししたのです」と話しています。
スワンマークの成功にも小売業者は、大きな役割を果たしたようです。「良い製品を販売していることを示すために、小売業者がスワンマークを利用してくれたおかげで、認知度が高まりました」とスワンマークの公認認証実施を行う非営利団体、 SIS ミリオマークニング( SIS Miljömärkning AB )のマネージング・ディレクター、ウンゲさんは述べています。
スウェーデン政府は今世紀の初めに、国内の農地の 20 %を有機栽培に割り当てることを目標としました。政府と連携しているスワンマークやクラヴなどのエコラベルは、広範な政策の決定にも影響を与えられる立場にあります。実際にクラヴの基準は、 EU の有機栽培政策に影響を与えているほか、 IFOAM のメンバーとして、国際的な有機栽培のガイドラインにも影響を及ぼしています。
投資家にとって、企業の財政状況だけではなく、環境活動にも着目することは今や当り前のことになっています。今後、投資を考えている人にも、企業がエコラベルを使用しているか、または検討しているかを確かめて欲しいとワールバーグさんは言います。「クラヴのエコラベルは、そのブランドが信頼に値するものかどうかを投資家に示しているのですから」。ウンゲさんも「エコラベルは企業の環境意識の高さだけではなく、消費者のニーズに敏感であることも示しています」と話しています。
エコラベルは消費者に環境負荷が少なく、健康への悪影響も小さい安全な製品を提供するだけはなく、投資を促進する役割も果たしているようです。
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