3月に開催された日瑞循環器代謝学シンポジウムにおいて、オーミックへの投資や同社製品をアピールするため来日したウーヴェ・ウーマン博士とラーシュ・グネフロ氏。ウーマン博士は、オーミックの技術についてこう語りました。 「当社の技術、オーミック予測システム(Åmic Forecast System)を用いることで、検査室を介さない検査が可能になり、お金と貴重な時間を節約できます。特に心臓疾患は、できる限り早い段階で正確な判断を行うことが非常に重要です」 オーミック予測システムの歴史は、1990年代後半にさかのぼります。それまで医療検査市場を独占していた試験紙による検査精度の低さに辟易としていたウーマン博士が発明しました。 「紙よりも確実性の高い、別の媒体を使って検査した方が良いだろうと考えたのです。オーミック予測システムで使用する、マイクロ成型したプラスチックチップでは、患者から採取した血液などの体液の特性を調べられるほか、異なるバイオマーカーを加えることにより、調べたい検査対象項目に合わせてテーラーメイド検査を行うこともできます」とウーマン博士は語ります。
あらゆる病気の検査を短時間で
この「フォーキャストチップ(4castchipTM)」と名付けられたプラスチックチップに血液を一滴のせて光学リーダーに入れると、わずか10分足らずで検査結果が出ます。さらに、この発明品を使うことで非常に多くの種類の病気を検出するテーラーメイド検査が可能になると、ウーマン博士は言います。
「フォーキャストチップは、さまざまな病気を検出できるように設計されていて、プレート内に組み入れる抗原や抗体次第で、あらゆる検査が可能になります。医学的な技術と許認可局の承認次第で際限なく検査項目を増やすことが可能なため、関係各所と協力しながら、私たちのシステムの適用範囲を広げていきたいと考えています」
小規模の診療所でも導入可能
例えば、急性の胸の痛みを訴える患者が来院したとします。心臓発作を疑った医師は、心筋トロポニン I の検査薬を入れたプレートを用意します。心筋トロポニン I は、心臓発作が起きる際に体内に放出される物質として知られています。わずか数分後に医師は結果を確認し、適切な処置を行うことができます。ラーシュ・グネフロ氏は、オーミックのシステムの利点について、次のように付け加えました。
「当社のシステムはコンパクトなので、一般の診療所でも導入可能です。検体を研究室に送る必要がないため、大切な時間を大幅に節約することもできます。特に心臓疾患の場合、生死を分けるため、時間が非常に貴重となります」
スウェーデンには医療、ヘルスケア、バイオテクノロジーの分野で最先端をいく企業が数多くあり、その中の1社であるオーミックは現在、事業の拡大を目指しています。また、スウェーデン同様、高齢化社会が進みつつある国でビジネスを展開している日本企業との事業提携にも大きな期待を寄せています。
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