キウォック社は、スウェーデンのシスタ(Kista)で2003年10月に創業され、革新的な心臓モニターのECG(心電図)ソリューション「ボディコム」の開発などを行っています。ボディコムは、患者の体に取り付けるECG電極、ECG電極に接続する小型センサー、ブルートゥースでセンサーとつながりECGデータを送信する携帯電話、センサーと携帯電話を充電する充電器の4つの製品で成り立っています。
心臓に疾患のある患者は、医師の指示に従ってECG電極を体に取り付け、ポケットなどに小型センサーと携帯電話を入れて持ち歩きます。そして、患者のECGデータに異常があれば、携帯電話のネットワークを通じて、即座にデータが医師や看護師のもとへ送信されます。
ボディコムの開発に成功したことについて、キウォック社の共同創業者、アンダシュ・ビョーリン氏は次のように述べています。「当社はスウェーデン政府の医療・介護分野におけるIT化推進の政策を熟知しており、社会保健省と密に連携をとりながら開発を進めてきました。医療産業における規制が少なくなれば、病院に他の業界が参入できるようになり、病院は技術の進歩による恩恵を受けることができるようになります」
ボディコム一式
A:ECG電極 B:小型センサー
C:携帯電話 D:充電器 |
従来の心電図検査では、患者は病院で検査を行い、医師が全てのデータを分析して結果を出すのに最大48時間を要していました。しかしボディコムを使用すれば、キウォック社独自の情報処理ソフトウェアにより、患者の異常な心電図データだけが選り分けられて病院に送信されるため、情報過多にならず、分析・結果に要する時間が大幅に短縮されます。また、患者は病院からボディコム一式を無料で借りることにより、安全で安定性の高いモニターシステムに見守られながら、日常生活を送ることができます。携帯電話が圏外エリアにある間はデータは蓄積されますが、患者が圏内エリアに移動すれば、すぐに病院へ送信されます。さらに、病院側にとっても心電図検査に必要なマンパワーを減らすことにより、従来の検査方法に比べ、約50%ものコストを削減できるメリットがあります。実際にボディコムは、スウェーデン最大の病院であるカロリンスカ大学病院で導入され、技術・医療・コストの面で検証が行われていて、かなり有望な結果を出しています。
ボディコムは携帯電話のサービスがカバーされている地域なら、世界中どこでも、どんな携帯電話でも使用できるため、キウォック社は現在、インドでのサービス開始に向けて準備を進めています。ビョーリン氏は「インド側とのビジネスにおける交渉はすでに成立し、今は通信事業者との契約締結を進めているところです」と話しています。またビョーリン氏は、日本市場への進出も考えていると言います。「日本への進出は時間の問題だと思います。技術的な基盤はすでに整っているので、あとは適切なパートナーを探し、言葉の壁を乗り越えるだけですから」またボディコムは、糖尿病や血圧の異常など、モニターが必要なほかの疾患に応用することもできます。例えば、糖尿病なら、血糖値をモニタリングの対象とします。ビョーリン氏は「システムに接続し、データを送信するセンサーはすでに開発済みです。近い将来、製品化しようと思っています」と話します。
このようなボディコムの革新性・利便性は、高い評価を受け、スウェーデンの年間最優秀ITイノベーター(2007年)、スウェーデン・ヘルスケアIT賞(2006年)など、数多くの賞を受賞しています。
Go Up |
Top Page
|