そのセンスと品質の高さで広く国際的にも認知されている多くの巨大家具メーカーのルーツは、スモーランド地域にあります。日本でもお馴染みのIKEAは、1958年に地域の南に位置するウルムハルト(Älmhult)で創業、現在も31カ国200以上の店舗を運営する巨大企業の中枢部として、当地域はグローバル・トレンドを牽引しています。また、“Kingdom of Furniture(家具の王国)”と称されるMöbelriket(ムーベリケット)では、100年以上の歴史を持つスウェーデン家具の真髄を見ることができます。
さらに、スウェーデンのユニークな産業である包装産業においても、IKEAが大学と共同で、斬新、効果的かつイメージを広げるような包装用材料の研究開発を行っています。そうした研究の成果であるフラットパックは、輸送コストを大幅に削減し、輸送中の損傷を最低限に抑え、さらに店舗の在庫収納数を格段に増やすことに成功しました。現在スウェーデンは、包装産業界で最もホットな分野、繊維材料の開発や統合パッケージ、トレーサビリティソリューションで世界をリードしています。
これら大規模な家具メーカーや包装産業を支えているのが、当地域の林業です。3万5000もの林業経営者を統括するソードラ(Södra)は、総生産量の4分の3を輸出し、世界を先導するパルプ生産や、欧米や日本をはじめとするアジア諸国への用材輸出等に多大な貢献をしています。
大型車両は比較的新しい産業ですが、ここ数年で飛躍的な成長を遂げています。大型車両クラスターは、ボルボ(Volvo Articulated Haulers)、カルマルインダストリーズ(Kalmar Industries)やスベトラック(Svetruck)といった世界市場をリードするメーカーが構成。これらのメーカーが製造する高品質、高い耐久性、多様性を誇るダンプトラックやフォークリフトは、世界的に高い評価を得ています。
南スウェーデンで第二の規模を誇るヴェクショー(Växjö)大学は、こうした大型車両の開発をはじめ多くの産業の研究開発に貢献しています。約35カ国から50もの異なる国籍を持つ学生やスタッフが集まり、100以上のコースが設置されています。特にシステムエンジニアリングでは、機械工学から産業デザイン、経営、ITといった幅広い分野をカバーする教育プログラムを提供し、大型車両の生産、システム、マーケット開発に重点を置いた研究活動はこのセクターでの競争力を強化してきました。
また、ヴェクショー大学に隣接する、スモーランド地域のテクノロジーの集結地であるヴィデウム・サイエンスパーク(Videum Science Park)は、スウェーデンの多くの革新的企業や研究組織が集まり最新設備が整備された好環境のもと、良好なネットワークを構築しながらテクノロジー産業を牽引しています。1998年に当サイエンスパーク近くに設立されたインターネットシティ(InternetCity)は、ITネットワークのプラットホームとして地域のITビジネスの活性化を促しています。
アルミニウムもスモーランドが強みを持つ産業のひとつです。同地域では2000年に、500以上のアルミニウム専門企業が集結したアルミニウムリケット(Aluminiumriket)と呼ばれるクラスターが誕生しました。同クラスターが創出する先端技術は、運送、IT、パッケージ、建設といったセクターで活用され、年間10%の成長を見せるアルミニウムの世界市場で有利なポジションを獲得しています。
さらに、スモーランド地域は最先端の環境対策事業において、イニシアチブを取っています。林業を統括するソードラは、バイオエネルギーの採算性を増大させ、石油の使用を最低限に抑えることに焦点を当てています。木造住宅で有名なカールソンヒュース(KarlsonHus)は、エコロジーの観点からエネルギー保全を考慮した建築工法を採用することで高く評価されています。また、ヴェクショーの企業、市民や組織が一丸となり、石油などの化石燃料の使用を低減するというプロジェクトを実行。CO2の発生を1993年から2010年までに50%削減するという目標に向けて、年々成果を挙げています。
IISA CEO、カーリン・ダーリントンより日本の企業の皆様へ
「スモーランド地域の首都であり、欧州の代替エネルギーの中心地であるヴェクショーは、日本からも毎年、代替エネルギーやエコ建築プロジェクトの視察団を多く迎え入れています。合成燃料やバイオエネルギーの開発に尽力しているシェブロンやシェルといったグローバル企業と同様、中小企業にとっても代替エネルギーや供給プロセスを保証することは重要課題です。もちろん、日本で事業を営む方々も、この問題を認識しているはずです。将来起こりうるガス不足や水不足といった事態により、企業や個人は独自の代替エネルギーの必要性を痛感することになるでしょう。その点において、元来革新性や起業家精神を持ち合わせているスモーランドの事例は非常に参考になります。
またヴェクショーは、欧州エコ住宅建築協会の本拠地でもあります。建築および住環境でのエネルギー節約の必要性から、ヴェクショーはMMC建築技術を採用した住宅の開発に注力してきました。今後、自然素材による持続可能な環境での生活の利点を広め、環境対策への基準をさらに上げていくために、私たちは国際的なパートナーを必要としています。ぜひ、スモーランドとのビジネスをご検討ください」
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