人口の16パーセント以上が外国系
中世、ハンザ同盟のドイツ移民がスウェーデンに流入してきた史実をはじめ、スウェーデンはこれまで、さまざまな局面で移民を受け入れてきました。しかし、現在のように大量の移民を受け入れるようになったのは、第二次世界大戦後です。
スウェーデンは現在、人口の16パーセント以上が外国系であるといわれています。戦後、北欧の他諸国やイタリア、ギリシャ、ユーゴスラビア、トルコといった南欧諸国から仕事を求めて、多くの人々がスウェーデンに移住してきました。70年代になると移民流入規制が強まり、労働目的の移民数が減少。80年代半ばには世界的な政情および社会情勢不安、戦争などによりイラク、イラン、レバノン、シリア、トルコ、エリトリアといった国々から多くの難民がスウェーデンに流入し始めます。さらに80年代の終わりには、ソマリア、コソボなどの東欧諸国からの難民がこれに加わりました。
様々な理由で移民が急増
スウェーデンは現在、人口に対してかなり高い比率で移民や難民を受け入れています。特に難民救済では、年間に受け入れる難民数の一定枠を設けるなど、非常に積極的です。また難民の一時的庇護法により、スウェーデンに長期滞在している、主に子供を持つ難民の家族はスウェーデンの在住許可書を取得しやすくなっています。さらに、EU加盟国の国民が加盟国内を自由に移動できる権利を持つようになったことから、移転先にスウェーデンを選ぶ人々も増えています。これらの要因が、ここ数年における移民数の急増をもたらしたと言えるでしょう。
生活費を支給されながら、必要な知識を習得
近年、他の欧州諸国が移民の受け入れに消極的な姿勢を示す中、スウェーデンは比較的寛容で、移民に敵対し、排除しようという動きも他諸国ほど活発ではありません。しかし、移民がスウェーデン社会に適応する際に、住宅や文化的な隔絶、特定の移民グループの失業など、さまざまな問題が生じます。そこでスウェーデンでは、移民ができるだけ早く社会に適応し、自活できるように、さまざまな受け入れ態勢を整えています。
例えば、外国人がスウェーデンで生活する際、言語や文化などの面で不利な場合が多く、これを克服する支援を行わないと、母国で専門職に就いていたような人でさえ貧困状態になりかねないとして、政府は1990年に「導入給付」を創設。これは、移民・難民がスウェーデンで生活するために必要な知識・習慣を習得するためのプログラムで、その間の生活費も支給されます。このプログラムのひとつに「SFI(Swedish for immigrant)=移民のためのスウェーデン語学校」があり、16歳以上を対象に無料でスウェーデン語教育を行っています。また、7月には「就労目的でスウェーデンに移住する場合、労働許可の規制を緩和する新しい法令を交付する」という発表も行われました。
このようにさまざまな制度を整えて移民を受け入れることは、長い目で見れば、社会経済の活性化や犯罪の防止など、スウェーデンにとっても有益となります。移民受け入れの先進地域として知られるスウェーデンが、このような政策により、今後どのように変わっていくのか、注目されるところです。
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