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スウェーデン政治の透明性を支える
「オフェントリーグヘッツプリンシーペン」

©Peter Knutson
2007.12.14
日本では政治家の政治資金の領収書公開に関し、規制の変更が検討されています。スウェーデンでは、政治家が国庫のお金を使うなら、領収書を提出しなければ請求もできない、というのが基本ルール。そのような政治の透明性を支える制度のひとつに、スウェーデン語でオフェントリーグヘッツプリンシーペン(Offentlighetsprincipen)と呼ばれる、政府記録への公衆アクセスに関する法律があります。

オフェントリーグヘッツプリンシーペンは、1766年に制定された報道の自由に関する法律の一部で、1772年から1809年まで保留されていました。しかしその後、再び発効されてからは、政治腐敗を防止する役割を担っています。

この法律では、国籍を問わず誰もが、政府機関に保持されているあらゆる公的記録を閲覧する権利があることを定めています。そのため報道関係者は、国家機関や地方機関、さらには税金で運営されているすべての団体の地域支部にいたるまで、あらゆる政府機関に入ることができます。また、各機関に届く郵便物を即日閲覧したり、例えば、ごみ処理に関する会議の資料をすぐに読んだりすることもできるのです。

ほとんどの一般市民は、ごみ処理に関する資料など、日々確認できようができまいが、通常は気に留めないでしょう。しかし、この法律による透明性は、報道関係者にとっては非常に有意義で、実際に役立ってきました。これまで数えきれないほどのスキャンダルや不正が、メモや議事録、手紙として残された証拠によって明かされてきたのです。

一般市民にとっての活用方法としては、政治家たちが税金をどのように使っているのかをチェックするといったことです。例えば、首相がEUの仕事でブリュッセルを前回訪れたとき、誰と昼食に行ったのか、また首相が昼食代を請求していれば、食後のエスプレッソの値段にいたるまで、詳細を調べることができます。

オフェントリーグヘッツプリンシーペンにより、ほぼすべての公的記録が閲覧できますが、なかには例外もあります。それは、ある公的記録が公開されることによって、国家もしくは特定個人が害を受けると思われるといったケースです。このような場合、1980年に改定された機密法を発動することにより、一部の公的記録の閲覧を禁止することができます。
しかし、この機密法にも限界があり、記録の提出から最長で70年(個人の場合は当該人物の死亡時から数える)を経れば、どんな記録でも閲覧できるようになります。そのため、第二次世界大戦中(1939年〜1945年)に機密扱いされた数多くの記録が、これから数年内に続々と公開されます。歴史家たちは、それを心待ちにしています。

ちなみに政治献金に関しては、スウェーデンでは通常、個人ではなく、政党に対して行われます。また、前回の選挙結果に応じて、国から複数の政党に対して、助成金を支給する制度もあります。
その背後には、ひとつの主張を支持する人が大勢いる場合、その主張を前面に出している政党に対して、その活動の継続を後押ししようという思想があるからです。この制度は、法律の制定や大規模インフラプロジェクトの推進を決める要因がお金ではなく、公共の利益であるようにするために定められています。

一部の政治家や批評家の間では、一般の人々の情報閲覧を規制しようとする動きがありました。しかし、情報をオープンにすること、また説明責任を果たすことが、政治腐敗のない自由で民主的な社会を確固たるものにするための最善策である、と主張する政界の実力者とその支持者によって、今のところその動きは抑えられています。

 



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